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インタビュー:玉川村プロジェクト活動紹介
~共に価値を創造する~

学生の約9割がキャンパス内の学生寮?宿舎で生活する国際教養大学はクラブなどの課外活動も活発です。授業が終わった後、国籍や学年の垣根を越えて交流を深めていく時間はプライスレスです。今回は、5月に発足したばかりの「玉川村(たまかわむら)プロジェクト」を紹介します。このプロジェクトは、福島県玉川村の小学生への英語授業の一部を、本学の学生がオンラインで運営する取り組みです。代表の山田 明怜(やまだ あきさと、2020年入学)さんにインタビューを行いました。

授業の様子
元気いっぱいに挙手!

プロジェクト立ち上げの経緯

山田:私は国立台湾大学に留学し、昨年の6月に帰国しました。現在取り組んでいるリサーチペーパーのテーマは、『台湾におけるICL教育について』です。國際學伴(ICL)とはInternational Companions for Learningの頭文字をとった言葉で、 言語や文化背景の異なる学生がグループワークやプロジェクトを行う中で学び合う学習活動を指します。台湾では、大学生と留学生がペアになって離島などの小中学校に行って言語学習指導を行う活動事例などがあります。私もその活動に参加し、地方の英語教育格差の解決につながる可能性を感じていました。

昨年9月、AIU卒業生の松生 恒(まつしょう わたる)さんが、福島県の小学校での英語授業アシスタントをAIU生に呼び掛けたことで玉川村のことを知りました。松生さんのお父様の松生 繁(まつしょう しげる)さんが定年退職後、福島県玉川村で地域おこし協力隊員としてALTを担当されており、英語力の高いAIU生に力を借りたいとのことでした。

昨年のAIU祭の時に繁さんがこのプロジェクトの説明にいらっしゃり、「玉川村の小学生たちに、好奇心の羽を広げるきっかけや場面をもっと与えたい、そうすれば将来への興味?関心が高まり、見える世界が広がるだろうから。」「この村では大家族や3人きょうだいは珍しくなく、人との関わり合いを大切にする優しい文化があるので、その土台の上で児童たちはもっと成長できるはずだ。」と語ってくださいました。のんびりとした玉川村の子供たちに「世界は広いぞ!」と感じてほしい、そのためにはエネルギッシュかつ開拓者魂のあるAIU生の力を借りたいとのことで、地方の英語教育格差問題や小学校の英語教育に関心のある有志と共にこのプロジェクトが発足しました。

活動内容について打ち合わせを重ね、今年の1、2月にトライアル研修を行いました。そして、5月から玉川村の小学校2校で、5年生3クラス、6年生2クラスを対象とした英語授業にALT外部講師として参加し、累計15回の授業を行いました。また、活動の幅を広げていくために、AIUの公認クラブにもなりました。

子供たちからの反応

山田:もともと、玉川村の小学校の英語授業では児童たちが英語に及び腰だったと聞いてましたが、トライアル初回から、AIU生が用意した授業が終わると「次はいつ!?」という声が飛び交いました。オンラインツールを介した授業で、秋田のAIU生が玉川村で英語授業を行うことは、児童たちにとってもなじみやすかったようです。年齢が近いこともあるでしょうが、AIU生の授業の中で、児童たちも積極的に英語を使うようになってきています。アンケートでも、英語が少しわかるようになった、おもしろかったという感想に加え、大学生個人への質問などもあり、興味関心の高さがうかがえています。

予想以上に大きな児童たちの反応に、AIU生もさまざまな刺激を受けており、若い世代の感性や流行を理解するよい機会となっています。

プロジェクトの魅力?楽しさ

山田:この活動を通して、指導力のスキルアップが図れます。塾講師や家庭教師のバイトをしている学生も応用が利く経験をさせてもらっているようです。教職課程では実習が必須です。AIUでは1年間の留学後、帰国してすぐに実習に行くことになりますが、このクラブ活動では、1、2年生のうちに事前に実習経験を積むことができるので、教職課程を履修している人にもオススメだと思います。

学んだことや経験などを反映して、授業の内容をミーティングで話し合い、授業設計、スライド作成に取り組んでいます。一か月前に指導内容が決まるため、それからの日程調整、授業設計などの準備が大変ですが、児童たちのことを考えながら工夫しています。

今後の展望

山田:今後は、いつもオンラインで会っている玉川村の小学生と対面の授業を実施したい、などの企画案が出ています。そのため、交通費の調達とクラブの継続的な運営のため、関係者に相談をしたり、さまざまな団体に支援の申請を行ったりしています。

また、多様なバックグラウンドを持つAIU生と小さな村の小学生を結びつけるこの取り組みは、地方の英語教育への貢献という点で日本版のICLモデルになるのではないかと、指導教官の水野先生からも励ましやアドバイスをいただいています。まだまだ始めたばかりですが、福島、東北と、AIUが先導しながら、ほかの村にも広げていけたらと考えています。

授業の様子
児童たちはオンラインの授業を心待ちにしています

国際教養大学(AIU)はグローバルリーダー育成のために必要な3つの価値基準?行動指針として「#ダイバーシティと共に歩む」「#互いに高めあう」「#共に価値を創造する」のAIU Core Valuesを掲げています。